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ティーチイン開催報告

2011年10月15日(土)に、本学図書館主催のティーチイン「本はどうなる!本の凄まじさに再び巡る。」が開催されました。パネラーには、グラフィックデザイナーの鈴木一誌氏、写真家・写真評論家の港千尋氏、本学ビジュアルデザイン学科の戸田ツトム教授をお迎えし、司会は本学図書館長 小山明が務めました。約140名の方にご来場いただき、13時30分から始まったシンポジウムは、パネラーの方々の熱のこもったトークで、終了予定時刻を延長するほどでした。
以下に少しだけ、その講演の概要をお届けします。
※パネラーとして、文芸批評家の福田和也氏もお迎えする予定でしたが、急なご予定が入ってしまい、当日は残念ながらお越しいただくことが叶いませんでしたことを改めてお詫び申し上げます。

ティーチインチラシ

チラシ(クリックで拡大)

ティーチインの様子

ティーチインの様子

グラフィックデザイナー
鈴木 一誌

我々の世界は、正方形に捉われている。まず、活字が正方形であり、携帯電話の文字がドット(正方形)の集合であり、建築の設計図も正方形のグリッドから成り立っている。つまり、正方形からあらゆるものが生み出され、長方形も正方形から派生している。
そして、本とは正方形を巧妙に構築した長方形という発想の塊であり、矩形であるページ、正方形である活字をレイヤー状に積み重ねることで、正方形に依拠した思考法を具体物にしたものともいえる。
電子書籍が本の新しい形を作り出すとするなら、正方形の呪縛から逃れない限り、紙の本の模倣で終わるであろう。

グラフィックデザイナー
戸田 ツトム

本、永久運動

ルネサンス以降、永久運動とは外部から完全に隔絶し宇宙と同等の存在だった

象徴と現実

「本」は常に現実の場から離れようとしている

文字の機能

「記録と伝達」はお互いに排除しながら生きてきた歴史

「物体」の思想

哲学や社会学には思想があり、物体には科学がある、と言うが・・・

本と文字の力

たとえば「薔薇の名前」という作品に、そしてゴミ箱に捨てられた本たちについて

本を描く人々

ヨーロッパ近代、絵画において「本を描く技術」が出現した

本という「モノ」

物体としての本を考える、キリスト教の力、キーファーの仕事

開かれた本の話

OPEN WORKS

本、永久運動

原発と大量生産、本の在処の意味

本を捨てよ

電子本への警告

本の未来

我々は間違っていたのか・自然観・芸術観・生活観・エネルギー・安息への希求、について。

(上記のテーマにそって講演が進み、本そのものに対する見かたや感じ方を変えていかないと、未来の本の姿はそう簡単に現れてくれないのではないだろうかとの疑問が投げかけられた。)

写真家・写真評論家
港 千尋

本という物質は力や象徴性を持っており、それらを無視しては、本の未来は考えられない。一時期メディアを騒がせた紙の書物と電子媒体の問題は、どちらを選ぶというのでも、共存と言うのでもなく、電子化されることによって、本をよく見るようになり、本とは何だったのかということをよく考えるきっかけになったと言ってもいい。また、本が持つ特質の一つは紙の触感やページをめくる時の感触といった感性であり、本が人間に与える感性を我々は完全に捨てることはできないと思う。現に、私が2年前に日本経済新聞社でキュレーションした「タイポロジック」という展覧会も含め、ここ数年ブックアートの展覧会が世界中で増えており、アーティストが多くの本をテーマにした作品を作り続けている。
電子化されたネット上の書籍は、どこからダウンロードしているかも分からないし、元々どんな形をしていたのかも分からず、ファイルとして限りなく断片化していく。それに対して、物を作ることによって本が持っている全体性を配布し、取り戻していくことがデザイナーやアーティストの本の未来に対する権利であり、義務なのではないかと思う。

パネラーの主な著作リスト(※本学図書館に所蔵の有るもの)

書名をクリックすると、所蔵の詳しい状況が分かります。

グラフィックデザイナー
鈴木 一誌
写真家・写真評論家
港 千尋
グラフィックデザイナー
戸田 ツトム
港 千尋著/戸田ツトム造本・装幀